毎年この時期は蛍が見られる良い時期ですね。水質のきれいな地域ではこの時期になると夜な夜な光を発しながら綺麗に飛び回っています。今回はそんな蛍と牡蠣の話です。
以前からこちらのブログでは牡蠣がどのようにして素晴らしいかを自画自賛してきましたが、その中で海の水質改善に一役を買っているという記事は何度か書かせていただきました。
水質改善は牡蠣本体の持つ給排水力によるもので、その力は1日に200リットル以上の水を浄化します。もちろんその分牡蠣に負荷がかかってしまうので、環境はきれいに保ちましょう。といった内容でした。
詳しくはこちら 『牡蠣は水質のクリーナー驚きの給排水量!』 『牡蠣の食事と浄化作用』
ただ、今回は本体ではなく殻がメインのお話です。殻そのものにも効果があることがわかっており、実際牡蠣殻を再利用している例は多く、私たちONOKURUも食べ終わった牡蠣殻をゴミにせず、お客様から返送していただき、粉砕して園芸肥料に変えるといったことをしております。
そんな牡蠣殻がなんと!ゲンジボタルの増加に大きく関わってくるのです!
そもそも牡蠣殻って何が良いの?
牡蠣殻は天然の有機石灰として、土壌を酸性からアルカリ性に変える働きを持っており、主成分の炭酸カルシウムが農作物を育成する土壌に最適の緩やかなカルシウム補給となり、園芸、農作物の肥料として好まれております。
また植物に必要とされる栄養素のチッ素、リン酸、カリ、マグネシウムが多く含まれ、牡蠣本体にも多く含まれている亜鉛は殻にも含まれており、ホウ素、マンガンなどの成分も併せ持つスーパー有機肥料なのです。
さらに、高温で焼成した殻は石灰石に比べるとアルカリが強すぎず、緩やかに浸透して行くことが初心者でも取り扱いやすく好まれている理由です。
ですので、牡蠣を買う場合に園芸をやっている方は殻付きを買うとからの処理にも困りませんし、肥料を購入しなくて済むかもしれませんね。
なぜゲンジボタルが増えるのか?
ゲンジボタルの一生ってほとんどの方がご存知ないと思いますが、実は一生のうちのほとんどは水中で過ごします。
ゲンジボタルは卵から成虫まで1年間。その後成虫になって2週間で一生を終えます。 私たちが蛍を想像するときに思い浮かべる、光っているあの時期は非常に短く、蝉の一生に似ていますね。
そして牡蠣との関係性は一生のうちほとんど過ごす水中での話。
ゲンジボタルの幼虫が主食としているのはカワニナという淡水域に生息する巻貝です。
このカワニナをゲンジボタルが幼虫時期に好んで食べます。
ちなみに1匹のゲンジボタルが成虫になるまでにどれくらいカワニナを食べるかというと
25匹とされています。
100匹のゲンジボタルが飛び交うには800,000匹のカワニナが必要だというレポートを見ました。
そんなカワニナは珪藻類を主食とし、その珪藻類がよく育つ環境として、牡蠣殻の保つ成分と微生物が生息しやすい牡蠣殻の形状が微生物を育成環境を整えます
つまり水質が綺麗で環境の変化に弱いゲンジボタルには、カワニナが多く住む淡水が必要不可欠ということです。
牡蠣殻の有効利用について取り組まれている自治体もありますが、ほとんどが牡蠣の生産地での話です。
首都圏は牡蠣の育成こそないものの、牡蠣の消費量はかなり高いです。
消費量の高い地域だからこそ、牡蠣殻の有効利用を考えたいところです