好きな人にはたまらない「海のチーズ」「海のミルク」で知られる牡蠣。近年では、物流の発達に伴い、海に面さない地域でも身近に牡蠣を食べられるようになりました。
味はさることながら、魅力はなんといってもその栄養の豊富さ。

歴史の授業で多くの人が見た貝塚も昔から食用で使われていたことを物語っています。
西洋では古代から精力増強効果が注目されており、シーザーがイギリス海峡に侵攻したのは、
テムズ河口の良質の牡蠣が目当てだったとか。このように古今東西を問わず、
圧倒的な人気を誇ってきた牡蠣。その秘密を一挙ご紹介しよう。

美味しさの秘密

丸ごと一口。
ほおばると口いっぱいに広がる潮の香りと、奥深い旨味。
この美味しさの秘密は、牡蠣の持つ豊富なグリコーゲンにあります。

グリコーゲンは単独では無味無臭だが、ほかの味と一緒になるとコクと旨味が際立ちます。
貝類の旨味成分として知られるコハク酸もいっぱい。甘みのあるアミノ酸のグリシンも一役買っています。繊細にして奥深いあの味わいは、これら三つの成分が醸し出すハーモニーなのです。

名前の秘密

タイトルにもあるように、牡蠣には別名が付けられています。
牡蠣には、「海のミルク」「海のチーズ」と名前があります。
海のミルクは牡蠣全般のことを指し、海のチーズは岩牡蠣に限定して別名がつけられています。

Q, 牡蠣はなぜ海のミルクと言われるのでしょうか?

A,牡蠣のもつ成分が牛乳と同じくらい豊富だということに由来しています。

アミノ酸やビタミン、ミネラルがたっぷり含まれているうえ、活力源となるグリコーゲンも多いので「疲れたな」と感じたら、旬の牡蠣を食べる人もいます(筆者もその一人。)
また、肝機能をアップするタウリンも豊富のため新年会で酷使した肝臓のケアにも一役買ってくれます。

栄養の秘密

生牡蠣100グラム中には、1日に必要なたんぱく質量の3分の2、カルシウムは3分の1、リンが全量、鉄分、ヨードはなんと4倍含まれています。
※生牡蠣100グラムはおおよそ牡蠣4つ分

このほかビタミンB2をはじめ各種ビタミンも豊富。まさに栄養の宝庫だが、実際、江戸時代の食の本「本朝食艦」には「心を涼しくし 肝を混し 脾臓のうつ熱を去り 汗を止め 渇きを止め 腹下しをととのえ 酒毒を欠し 婦人の血気を収める」とあります。
カロリーは意外に少なく、1個あたり16kcalほど。5個で卵1個分に相当する。いいことづくめの牡蠣だが、具体的にはどんな健康効果があるのでしょうか?

1.お酒を飲む季節に…【肝臓を強化する効果】

お酒が大好きなあなたへ!
牡蠣には、肝機能を強化するグリコーゲンやタウリン、ビタミンB12がいっぱい。寒い季節には体を温めようとついお酒がすすみがちだが、疲れた肝臓をバックアップするには、まさにもってこいだ。

2.食生活の偏りからくる貧血に…【造血作用】

女性に多い貧血。食生活の偏りから、慢性的な症状に悩む人も少なくない。
牡蠣に含まれる鉄、ビタミンB12、銅、葉酸は、造血に必要な成分として知られています。
鉄不足による疲労感にも、効果はおおいに期待できます!

3.風邪に強くなる体に…【免疫力強化】

牡蠣に多い亜鉛は、風邪の予防にはまさに不可欠といえる栄養素。
免疫細胞のはたらきを活性化させるばかりではありません。
粘膜の健康を保つビタミンAを体内にとどめ、喉の痛み・鼻水・鼻づまりなど風邪の症状を緩和します。
このほか、男性女性を問わず、生殖機能をアップさせるはたらきもあります。

4.毎日忙しくしているあなたへ…【精神安定効果】

カルシウムが不足すると、イライラしやすくなる――こんな話を聞いたことはないですか?
カルシウムはイライラを抑え神経安定を促す栄養素。
逆にストレスが増えると、体内のカルシウムはどんどん減ってしまいます。
牡蠣にはきわめて良質なカルシウムが含まれており、ストレス予防にはぴったりの食材といえます。
また、牡蠣に多いマグネシウムはカルシウムのはたらきを調整する作用がある。
「この頃、気が短くなった」と思ったら、牡蠣を食べてみてはいかがでしょうか?